【ベルリン篠田航一】ナチス・ドイツの独裁者ヒトラーの著書「わが闘争」の一部抜粋を英国の出版社が週刊誌の付録としてドイツ国内で販売する計画を進めていた問題で、独南部ミュンヘンの地裁は25日、出版差し止めを命じる決定を出した。出版社側は既に販売計画を断念しており、雑誌本体は出版するものの、付録の「わが闘争」は線を引くなどして読めなくする措置を取るという。
「わが闘争」の著作権は現在、ヒトラーが生前に住民登録をしていたバイエルン州が保有しているが、「ナチス賛美につながる」との理由で国内での出版を認めてこなかった。
週刊誌「新聞の目撃者」を発行する英出版社代表のピーター・マクギー氏は「ドイツの人々も原本を目にする機会を持つべきだ」との理由で、解説付き抜粋(ドイツ語)を26日から3回にわたり販売する計画を発表したが、バイエルン州が差し止めを求めミュンヘン地裁に提訴していた。
付録販売計画を断念した理由についてマクギー氏はDPA通信に「あくまでも雑誌本体の出版が主目的だ」と述べ、付録の販売を巡って問題がエスカレートする事態を避けたいとの考えを示した。
「わが闘争」は1920年代に刊行。反ユダヤ思想などが記述され、戦後ドイツでは禁書扱いとなったが、学術目的なら図書館などで閲覧できる。
毎日新聞 2012年1月26日 10時04分(最終更新 1月26日 10時20分)
岩手県・宮城県に残る災害廃棄物の現状とそこで暮らす人々のいまを伝える写真展を開催中。