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タイガーマスクからの贈り物

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◇写真説明◇群馬県中央児童相談所の玄関前に積まれていた10個のランドセル。この贈り物が端緒となった=前橋市野中町で、群馬県提供
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タイガーマスク:「社会現象」の様相 全都道府県で確認

 漫画タイガーマスクの主人公・伊達直人を名乗る贈り物が昨年末以降、全国の児童養護施設などに相次いで届けられ、「社会現象」の様相を帯びてきた。今月に入り、漫画あしたのジョーの主人公・矢吹丈なども贈り主として登場。贈り物もランドセルのほか現金などバリエーションが拡大している。【松谷譲二、渡辺暢、宮田哲】

 「第1号」は昨年のクリスマスの朝、群馬県中央児童相談所(前橋市)に届いた。玄関前に、包装紙にくるまれたランドセル10個(計30万円相当)が積まれていた。「伊達直人」という差出人名を聞き、「タイガーマスクでは」と気づいたのが職員の滝沢邦行さん(36)だ。

 「小学生の頃、タイガーマスクのテレビアニメにくぎ付けだった。素性を隠して孤児にファイトマネーを寄付する主人公がかっこ良く、憧れだった」と言う滝沢さんは、「(善意を)一過性で終わらせず、困っている子どもたちに寄付する文化が根付いてほしい」と期待する。

 名前を使われた「当事者」の一人、4代目タイガーマスク(新日本プロレス所属)は「匿名を表現する際、タイガーマスクという存在が贈り主の世代にピタッとはまったのだろう。良いニュースの少ない中で、大勢が夢を与えてくれるのは素晴らしい」と共感する。自身もデビュー時から各地の養護施設などを訪問し観戦チケットを手渡すなど、孤児たちとの交流を10年以上続けてきた。「リング外でも僕の存在を善意で利用してくれるなら大歓迎」と喜ぶ。

 昨年末、パチンコ台「FEVERタイガーマスク」を発表した大手パチンコ機器メーカー「三共」(東京都渋谷区)。インターネット上では「(寄付は)機種のプロモーションでは」との書き込みもあるが、同社経営企画部の担当者は「我々も驚いている。売り上げが伸びたということは今のところない。パチンコで誰かが思い出して名前を使ったのかもしれない」と話す。

 急速に広まる現象の背景には何があるのか。皇学館大の森真一教授(現代社会論)は「流行の現象に便乗して現代を生きている充実感を味わいたいという心情もあるのだろう」と指摘。「私たちは、テレビやインターネットが浸透し、いいことは遠くにしかないと思い込むようになった。非日常的なことでないと実感を持てなくなっている面もあるのではないか」とみる。

 精神科医の香山リカさんは「児童虐待などで子どもに同情している人や、誰かを喜ばせたいと思う人が多いのだろう。素直に行動に移せなかった人がヒーローの名を借り、行動に移せたのかもしれない。ただ、物を置いていくのは一方的。『できることはありますか』と声に出し、自ら動くことで感謝されればより大きな喜びは得られる」と話す。この現象、人と人が双方向にかかわる動きに発展するのだろうか。

 ◇タイガーマスク◇

 梶原一騎原作、辻なおき作画。68~71年に雑誌「ぼくら」「ぼくらマガジン」「少年マガジン」に連載された。孤児だった主人公の伊達直人が覆面レスラーのタイガーマスクとなって悪役相手に活躍を繰り広げ、出身施設にファイトマネーを寄付するストーリー。69~71年にはテレビアニメとしても放映された。

 2011年



 
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