内閣府は24日公表する「経済財政の中長期試算」で、消費税率を10%に引き上げても、財政健全化の指標である基礎的財政収支(国と地方の合計)の赤字が2020年度時点で9兆~16兆円強に上るとの見通しを示す。税と社会保障の一体改革を実現しても、政府の財政健全化目標を達成できず、借金が増え続けるという厳しい現実を突きつけた形で、政府は財政改善に向け一段の対応を迫られる。【赤間清広】
政府は、15年度の基礎的財政収支の赤字を10年度から半減し、20年度に黒字化すると約束している。赤字のままだと借金が増え続け、財政悪化に歯止めがかからないからだ。約束を果たせるか、内閣府は二つのシナリオに分けて試算した。
このうち、今後の成長を手堅く見積もった「慎重シナリオ」は、20年度まで平均1%強の実質成長率を確保するとの前提で試算。その結果、15年度の基礎的財政収支の赤字は、名目国内総生産(GDP)の3・3%に達した。赤字半減には3・2%にする必要があるが、守れないことになる。20年度でも3%の赤字が残り、これを「穴埋め」して黒字にするには、17兆円弱が必要だ。消費税だと7%分にあたる。一方、年平均2%の実質成長率を実現する「成長シナリオ」でも、20年度に1・5%程度の赤字が残る。財政健全化目標を達成するハードルは、それだけ高い。
民主党が公約した「最低保障年金」導入などの年金改革を実行するには、さらに財源が必要だ。藤村修官房長官は23日の記者会見で「(消費税率は)今のレベルでは足りない」と明言。将来的に消費税率をさらに引き上げる可能性を示唆した。
もっとも野田佳彦首相は、10%への引き上げすら確約できていないのが実情だ。自公が一体改革の与野党協議に応じないうえ、与党内にも消費増税への慎重論がくすぶり続けているためだ。そうした中、「一体改革の次の増税」の論議が浮上すれば、議論が紛糾するのは必至。与野党の反発を越え財政健全化の道筋を描く求心力を野田政権が維持できるか、24日召集の通常国会の論戦が注目される。
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■ことば
毎年度の予算で、過去の借金の返済に充てる国債費を除いた政策経費を、新たな国債発行(借金)に頼らず、税収や税外収入で賄えているかどうかを示す財政指標。収支が赤字の場合は、社会保障などの行政サービスを借金なしでは賄えないことを意味する。赤字が続けば、将来世代に負担を先送りすることになる。
毎日新聞 2012年1月24日 東京朝刊
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