アベノミクスの第一の矢である大胆な金融政策が、デフレ脱却に向け一定の成果を上げていることには、ほぼ異論がなかろう。しかし、日本経済復活のために最も必要な構造改革、すなわち第三の矢とされる成長戦略については、いまだはっきりした成果が上がっていないとするのが、一般的な評価だ。本当にそうだろうか。
確かに、少子高齢化が急速に進行するもとで、潜在成長率がゼロ近傍まで低下しているとされる日本の現状にかんがみると、農業、医療、教育などの分野での規制緩和や、エネルギー改革への取り組み、さらには人口問題そのものへの対応においては、覚悟と決断に欠ける面は否めない。期待された環太平洋パートナーシップ協定(TPP)も、最終合意に向けた道筋には、なお暗雲が漂う。
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