バッテリー残量計のブロックが増減する!? 不思議に思いつつも、出先から6キロほどの道のりをなんとか電欠せず、自宅にたどり着くことができた。
スカルピーナを開発・販売するレスクの鈴木大介社長に聞いた。「坂道を走ったりスピードを上げるとバッテリーに負荷がかかり電圧は弱まります。一方、信号待ちなどで停止するとバッテリーへの負荷が減り、電圧は上がる。するとブロック数が回復する。実は電圧の強弱を表したものなんです」。ということは、ガソリン車でいうところのガソリンの「残量」を示すのではなかった。走れるパワーがどれだけ残っているかの「目安」だったのだ。
人間と同じで、走り続けたりすると疲れてパワーダウンするが、休憩すると少し元気になる。完全におなかがすくとヘロヘロになり一気にダウンする、かもしれない。この四角四面ではない「目安」を、不便と取るか、人間的と取るか、利用者の感じ方はそれぞれだろう。
当初、レスクは取扱説明書に「バッテリー残量計」と表示していたが、「バッテリー電圧メーター」と替えるようだ。上手な乗り方をアドバイスしたページを挿入し「バッテリー残量の目安となります。走行距離メーターと合わせて航続可能距離を判断して下さい。」と書かれていた。
バイク生活をする前、買い物はほとんど車か自転車を使っていた。近所のスーパーにバイクの駐輪場があったかどうか全く記憶にない。西友東大宮店の周囲を走って探す。正面入り口の道路沿いに有料駐輪場が12台分あった。バイクの前輪にチェーンを通すタイプ。「2時間まで無料」とある。マルエツ東大宮店は5台分で「1時間未満無料」。そのほかの近隣のスーパーやショッピングセンターは、無料で、駐輪場の枠を設けているだけ。自転車とバイクが混在しているところもあった。
ふだんの通勤には最寄り駅まで自転車を使い、駅地下の駐輪場を定期契約で利用している。バイク通勤してみる。この「さいたま市営東大宮駅東口駐輪場」の駐輪スペースは計5650台。うち自転車は5391台、バイク(原付きのみ)は259台。つまり自転車の20分の1しかバイクスペースはない。足りているのだろうか。
9月26日現在の利用台数を聞いた。自転車は4379台で81.2%、バイクは195台で75.2%だった。20分の1でも均衡がとれているらしい。あくまでこの日についてだが。
「変わったバイクですね」。駐輪場で50代後半ぐらいの男性に声をかけられた。「電動バイクなんです」「いいなあ、これからはそういうのがどんどん出てくるのかなあ。家で充電できるんですか? どのくらい走るの?」「家の普通のコンセントで充電できるんです。1充電で30キロぐらいは走れますね」。男性は自分のバイクを指し「これは2.8リットルしかガソリンが入らないんですよ。予備のガソリンタンクがついてたらなあといつも思うんだ。燃費は50キロぐらいだけど、おれんちまで駅から5キロぐらいだからねえ。ガソリンスタンドにはそれなりの頻度で行かなくちゃならないんだよ」。電動バイクは都市近郊の通勤に向いているのではないかと気づく。
日本自動車工業会が2009年9月にまとめた「二輪車の利用環境デザイン」という調査記録がある。二輪車のうち、原付きバイクは燃費も良く経済性に優れているが、1990年には年間約120万台以上売れていたのに08年は30万台以下に減少している。
その理由として、時速30キロの速度規制▽二段階右折などの交通規制――がユーザーのニーズに合わなくなっていること、排ガス規制に対応して製造コストがアップし車両価格が上がったことなどが挙げられている。さらに、06年6月の改正道路交通法の施行によって、放置違反金や駐車場監視員制度が導入され、二輪車への取り締まりが強化されたことも要因として書かれている。
「最近では、少子高齢化によるバイクに乗りたがる若年人口の減少、趣味の多様化によりお金の使い道がバイクだけに向かなくなったこと、そして昭和57年から始まった乗らない・買わない・免許を取らないの『3ない運動』の影響もある」と日本二輪車協会企画広報部の坂上勇一部長は言う。
もともとバイクは、自転車より楽▽車に比べ渋滞の影響が少ない▽車に比べ駐車スペースが小さくてすむ――などの長所がある。一方で、音がうるさい▽倒れるとガソリンが漏れて引火したり、人や物に傷をつけて危険――などの大きな短所があり、歓迎されにくかった部分もある。街の駐輪場はなかなか増えず、バイク利用者は路上駐輪するしかなく……という悪循環に陥ってしまった。そこで業界団体は、駐車場整備に活用しやすい助成制度の充実▽既存の自動車駐車場・自転車駐輪場へのバイクの受け入れ促進▽大型商業施設や集合住宅などへのバイク駐輪場の敷設義務の導入――などをアプローチしている。
思うに電動バイクが増えれば、騒音の問題やガソリン引火の危険が減る。お年寄りの乗り物として電動三輪車なども選択肢に入ってくるだろう。いずれは子ども2人程度は乗せられる車種や制度もお願いしたいが。
東京・新宿駅近くのバイク専用駐輪場を見た。社会実験として2009年に整備されたもので、車道と歩道の間の植え込みスペースを転用したスタイル。車道との間にはポールが立ち、車が入れないようになっている。歩道との間には金属製の柵があり、万一バイクが前に動いても歩道の通行者は保護される。これなら各地の駅前や商店街のちょっとしたスペースでも設置できるのではないだろうか。
東日本大震災以降、バイクの機動性は見直され、需要は変化してきているという。「都市では非常にマッチした乗り物。駐輪場や制度など、取り巻く環境を整備すればバイクは受け入れられると我々は思っている」と坂上さんは語っている。(つづく)
浜田和子(はまだ・かずこ)2011年9月30日