野菜や果物など食品の中に、ぜんそくや花粉症などにつながるアレルギーや炎症を抑えるものはないか。食品総合研究所の小堀真珠子(ますこ)・機能性評価技術ユニット長たちは、こんな研究を続けている。効果のある食品を探すため、細胞のアレルギー反応などを詳しく分析できる「DNAチップ」を開発した。
研究では、人為的にアレルギーなどを起こさせた細胞に食品の成分を投与し、アレルギーが治まるかなどを調べる。細胞を使うと動物実験より手間や経費がかからず、多くの成分を調べやすい。
ただし、効果の判定が問題だ。アレルギーの際には細胞内で30種類以上の、炎症なら60種類以上の遺伝子の働きが異常に強まる。従来はうち1、2種類だけを調べて、働きが正常に戻れば「アレルギーは治まった」などと判定していた。だが、他の遺伝子は異常なままかもしれなかった。
正確な判定には多くの遺伝子を調べたい。そこで約4万個ある人間の遺伝子から、アレルギーや炎症などに関係する遺伝子約200個を選んだ。そして企業と協力し、各遺伝子(DNA)を縦約2センチ、横約1センチの基盤上に並べた「DNAチップ」を作った。
チップに細胞の成分をかけると、各遺伝子の働きを一度に調べられる。アレルギーへの効果なら、関連する35遺伝子の働きがすべて正常に戻ったことを確かめて「治まった」と判定できる。チップで人間の血液を分析すれば、アレルギーの新しい診断法につながる可能性もあるという。
「日常の食事に取り入れられる食べ物で、効果のあるものを見つけたい。チップはそのために役立てます」と小堀さんは話している。【高木昭午】
==============
■ことば
34年に旧食糧庁の「米穀利用研究所」として発足し、現在は独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構に所属。食品の機能や安全性、品質保持技術、食品廃棄物の利用技術などを研究する。職員125人、年間予算は約2億9000万円。
毎日新聞 2010年1月19日 地方版